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ドッグレース  作者:ID:vG820Boj

 牧場の経営には資金が必要だ。
 広大な土地、家畜たちの体調を管理する施設、来賓を迎えるための最新の設備など……
並べてみればきりが無い。
 多数のパトロンの出資金額も莫大だが、それでも運営する側からすれば
「有り過ぎて困る事は無い」というのが金というものである。
 そんな運営側の思惑と、来場する人間の嗜好が妥協する究極の施設としてカジノが存在する。
 カードゲームやルーレットと言ったオーソドックスなものもあるが、
ただ金を賭けるだけのゲームでは、満足できるはずも無いのだから、ここの来賓には人気が無い。
 ここで人気があるものは「競輪」「競馬」「ドッグレース」などと言った
屋内野外を問わずに大きめの施設となるものばかりだった。

「それでは本日のドッグレースを開始いたします」
 場内にアナウンスが流れ、観客たちは中央にある楕円形の200メートルのトラックへと注目をする。
 ドッグレースとは、数頭の犬が獲物となるウサギに見立てた囮を追いかける事で行われる
競馬のような物なのだが、そこには本来あるはずのゲートもゴールも用意されていない。
 だが観客はそんなことは先刻承知のまま、これから行われる”レース”に注目しているのだ。
 男に引き立てられ、一人の少女が中央へと現れた。
 よく手入れされたピンクに輝くブロンドと滑らかな肌、意志の強そうな瞳は一目で
上流階級の生まれだとわかるが、その身を包んでいるのは、典型的なバニーガールの衣装だった。
「本日の”ウサギ”はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢です」
 アナウンサーが発表したその名前に、観客席からは少なからず驚きの声が響く。
「ヴァリエール家といえばここの大口出資者の一人じゃないか」
「まさかご息女が出るとは……」
「小耳に挟んだ話では、なんでも”ドッグレース”でかなりの金額をスったそうですが……」
「つまり”負けたぶんは責任持って稼げ”ということですか……いやはやヴァリエールの御当主は
厳しいお方のようですな」
 地面に打ち付けた4本の杭それぞれに手足を固定され、四つん這いにさせられる
ルイズの姿を眺めながら、口さがない者たちが訳知り顔で解説をしているなか、
一人の紳士がつぶやく。
「しかし……あの身体で持ちますかねぇ?」
 バニーガールの衣装を身にまとってはいるものの、遠目にもその胸の部分には
かなりの余裕が見て取れる。
 年頃の娘というにはあまりにも貧弱なプロポーションは、
未成熟な少女が趣味だという者には魅力的だろう。
「何で私がこんな目に……それもこれもみんなあの犬が悪いんだわ……
ご主人様を放り出して居なくなるなんて最低!」
 伝説の系統「虚無」の使い手である少女も、魔法の杖を取り上げられてしまった今となっては
ただの貧弱な小娘でしかない。
 今の状況になった原因は全て自分にあることを理解しているだけに、
このような屈辱的な格好をして衆目に晒されている自らの姿を考えるだけでも
舌を噛んで死んでしまった方が自分のプライドも、ラ・ヴァリエール家の家督も
守られるのではないかと考えてはいたのだが、すでに何度もチャンスがあったにもかかわらず
自害していない辺り、結局はルイズの限界はそこまでと言うことだった。
「本日のドッグレースのルールは”タイムトライアル”です、お手元の用紙にレースが
終了する時間を予測して投票してください……なおタイムトライアルはそのルール上
非常に時間が掛かりますので、レース開始から12時間後まで受け付けております」
 いまだゼロが並ぶ電光掲示板のタイマーとルイズを見比べ、真剣な面持ちで観客達は
ドッグレースの終了時間を予測する。
「こんな格好でレースなんて出来る訳無いじゃない! 
そもそもレースって言うならこの鎖を外しなさいよ!」
 今までの自分の扱いをみれば、決して聞き入れてくれるはずが無いのはわかっているが、
それでも誰かに向かって声を荒げていないと不安に押し潰されてしまいそうになる。
「それではドッグレースを開始いたします。Ready………………Go!」
 ルイズの正面の壁がせり上がり、そこから飛び出してきた影たちは一斉ににルイズへと飛び掛る。
「きゃぁぁぁっ!」
 現れたのは股間の一物を今にも爆発させてしまいそうなほどいきり立たせたオスのダルメシアン
その数は101匹。
 最初にルイズの元にたどり着いた数等がルイズの身にまとっていたバニースーツを
乱暴に食い千切り、本能のまま四つん這いの格好で掲げられているルイズの未熟な花弁へと
その肉棒をもぐりこませた。
 何が起きても気丈に振舞おうと思ってはいたが、現実はそんな理想を簡単に打ち砕いてしまう。
 自分を囲んでいる大量のオス犬にとって、唯一の性処理要員として存在する自分が
どんな位置付けなのか……理屈ではない部分で思い知ってしまったから。
「犬の分際で何て事してくれるのよ! 離れなさい! 離れなさいったらぁ!
お願いだから抜いてぇぇぇっ! 」
「この悲鳴が一番の醍醐味ですな」
「ええ、これが聞きたくて通ってるような物ですよ」
 犬の肉棒を無理やりねじ込まれたショックと、その事実を認めたくない理性に挟まれ、
半狂乱になって叫ぶルイズの姿を眺めている観客達のそこかしこで似たような会話が交わされている。
 その観客席の中心では、101匹のダルメシアンの群れの中で悲鳴を上げ続けるルイズの姿があった。
 いくら騒いだ所で、目の前に備え付けられている雌の匂いに夢中になっているオス犬に
人間の言葉が通じる訳も無く、ルイズの懇願をよそに一頭のダルメシアンの肉棒は、
未だ幼さを残すルイズの小陰唇を割り開いてその奥へと突き進んでいく。
「ヒッ!! 痛いっ! 痛いぃぃっ! そんなに強く押し込んじゃ……イヤァァァ!」
 子孫を残すという本能に命ぜられ、目の前にあるメスの子宮へと精子を流し込むために
犬はただ腰を振り続けている。
 その周囲ではあぶれた犬達がお互いににらみ合い、所々で乱闘を始める犬まで出始めた。
「おやおや……女性を取り合うために争うとは、犬といっても男ですなぁ♪」
「それで順番が守れるのなら誰も苦労はしない訳で……
ほら、あそこに居るのはすでに次を狙ってますぞ」
「確かに……あそこにいればすぐに押しのけてルイズ嬢の孔を責める事が出来ますな」
 観客達はお互いに注文したワインやカクテルを傾け、ルイズの悲鳴と犬たちの争う声を肴に
混沌としている群れを眺めてくつろいだ様子だ。
「ですがまだ一頭目が終わるまで時間がかかりそうで……」
「それはそうですよ、何といっても相手は”犬”ですからな……アレが始まってからが本番です」
 老紳士が立てた人差し指を左右に振る仕草をして笑みを浮かべているうちに
犬とルイズの間に変化が起きる。
 ルイズを組み伏せていたダルメシアンは肉棒を一番奥まで突き入れたまま身体を振るわせ始めた。
 肉棒の先から吐き出される熱い液体を感じてルイズの体中に鳥肌が立つ。
「いやぁ!……何か出てる……犬のくせに! 犬のくせに! 私の中に汚い物出すんじゃないわよ!」
 その叫びが観客達に今の自分が行なわれている行為を宣言している事に気を回す余裕も無く、
ルイズは必死になって唯一自由な腰を振って犬の肉棒を胎内から引き抜こうとするが、
怒りの声はやがて驚愕の表情へと変っていった。
「何これ……中で膨らんで……うぁぁっ! 裂ける! 裂けちゃう! 何なのよこれぇっ!?」
 犬は一度性交をすると肉棒の根元に巨大なこぶを作り出し、
メス犬がどんなに暴れても確実に子宮へと射精するための栓をする。
「始まったようですな♪」
「ルイズ嬢は流石に犬のアレは知らなかったと見えますな」
「まぁ知っていてもどうしようも無いですがね……」
 子供の拳ほどに膨らんだ犬の肉棒の根元をがっちりと咥えこんだまま、
何とかそれを外そうと腰を振り下腹部に力を入れているルイズの姿が
各所に取り付けられているモニターにも映し出されている。
 ルイズの背中に覆い被さっていた犬がくるりと後ろを向くと、
隙間無く打ち込まれた肉棒が膣内で捻れ、その衝撃がまたルイズの身体を駆け巡る。
「なっ……また中に出してる! いつまでを私に中に出してるんじゃないわっ、これは命令よ!
 早く抜いてったら! 抜きなさいったら抜きなさいよぉ……」
 気丈さと哀願が所々に混じるルイズの声も、
高感度なマイクが全て拾って観客達の耳を楽しませている。
「”タイムトライアル”のルールはこれからが長いですな」
「さて……ルイズ嬢が101頭満足させるまで何時間かかりますか……」
「ええ、一頭が満足するまで大体30分だとして101頭分……単純計算で2日かかりますからねぇ」
 紳士たちがまだ見ぬルイズの未来を予想している中、
ようやく始めの一頭がルイズの中へと射精し付くして肉棒を引き抜くと、
係の者がそのダルメシアンを犬舎へと連れて行く。
「はぁ……やっと終わっ……!? ちょっと待ちなさいってば! コラッ!
 入れちゃダメぇぇぇぇっ!!」
 息つく間も無く次の一頭がルイズの身体に覆い被さり、
前の一頭が吐き出した精液を溢れ出している花弁に、己の肉棒を突きたてた。


 ルイズが解放されるまでダルメシアンは後100匹 


 ルイズがタイムトライアルを始めてから47時間が過ぎようとしていた時。
「ドッグレース”タイムトライアル”もラスト5匹になりました」
 牧場内ではそんなアナウンスが流れていた。
 お互いに手元の時計を見ると、紳士達は一様にその表情を驚きへと変えていく。
「なんと……もっと時間がかかるものだとばかり思っていたが……」
 一頭の平均が30分だとすれば101匹で50時間30分……ルイズのような
何も知らない少女が抵抗できるのは始めの5頭ぐらいまで、10頭を越した辺りから
抵抗する気力すら奪われてしまう。
 発情したオス犬たちは自分の番が来るまで餌を食べる事も睡眠を取る事も出来るが、
ただ”一頭”目の前に晒されているメス犬であるルイズだけは延々と
その胎内に肉棒を受け入れ続ける事しか出来ない。
 食事はもちろん睡眠すら取れないまま獣に蹂躙され、時間の感覚すら無くなった時、
少女の心に何が起こるのか……観客にとってその部分が最も予想のキモとなるのだが、
その心理は当の本人しかわからない。
「おお……これはこれは……」
 観客が見下ろす200メートルトラックの中でルイズが犬と繋がっていた。
 二日前にはきめの整っていた肌も96頭分のダルメシアンの精液が作った水溜りの中でくすみ、
汚れ、よく手入れされていたブロンドの髪も、質の悪いジェルで無理やりまとめたかのように
ゴワゴワに毛羽立ったまま固まってルイズの身体にまとわりついていた。
 その中でも何の冗談なのか、一番初めに食い千切られていたバニーガールの衣装の中でただ一つ、
ウサギの耳をかたどったカチューシャだけがルイズの身につけた唯一の装飾品となっている。
 だが観客の注目したのはそこではなく、今現在犬と繋がっているルイズの行為そのものだ。
 そんな観客の声はすでに聞こえていないのか、ルイズは2匹のダルメシアンの精液を、
その開ききってしまった花弁と、強気な命令と哀願ばかりを放っていた口とで受け止めている。
 射精が終わった2頭を引き離し、残るダルメシアンは後3頭。
「ほら……あんた達が最後よ……それでこんな所ともサヨナラ出来るんだわ
……早く来なさいったら!」
 すでに拘束していた杭からは解放され、自由にその体勢を変える事が出来るようになったルイズは
大胆にも3頭の犬を相手にその身を差し出していた。
 理性よりも野生、知性よりも本能を優先する事に何の躊躇も無い犬たちが
小柄なルイズの身体へと先を争って覆い被さる。
 襞もはみ出してしまった秘唇へと肉棒をねじ込んだ1頭を自らの下に組み伏せると、
ルイズの背中から覆い被さったもう1頭の肉棒を、やはり何頭もの肉棒を受け入れたのか、
開ききってしまったアヌスへと受け入れ、最後まで出遅れてしまった一頭の肉棒は躊躇無く
その口に咥えてしまった。
「変れば変る物ですなぁ……」
「開き直ったのでは?」
「だからと言ってあそこまで出来るようになるとは思いませんでしたが……
やはり血筋のような物があるのでしょうかねぇ?」
「そんな事を言っては……もしもヴァリエールの当主の耳に入ったら……」
「これは失言でしたな……お気遣いありがとうございます」
 精液まみれのまま犬に奉仕する貴族の令嬢の姿を、観客達は一つの芸術品として尊び、
それにも勝る欲望を持って見つめている。
「そんなに暴れたら……もう出そうなの? もう中には入らないって言ってるじゃない
……だから出しちゃダメだったら! 太くしちゃだめぇ!」
 ルイズの膣と直腸、喉の最奥まで突き立てたまま、三匹の肉棒の根元が膨らんでいく。
 これで終わりだと思ったが故に隙があったのだろう、最後の圧迫感で呼吸もままならないまま、
3箇所同時に射精されたルイズはついに白目を剥いて気絶してしまった。
 その瞬間タイマーのカウントが止まり、観客席では賭けに勝った者が
投票用紙を握り締めて歓声を上げていた。

 あらゆる世界と繋がっているこの牧場では魔法から科学まで、最先端の技術が終結している。
 それ故に、極端な話ではあるが「命さえ無くさなければ」手足の1本や2本無くそうとも完璧に治療する事が出来るのだ。
 そもそも今回のゲームは出資者側によるルイズに対する懲罰の意味の方が強いため、牧場で飼われているメスとは違い、アフターケアも万全の物だった。
 爪で引っ掻いたほどの小さな傷すら完璧に治療し、あまつさえ処女膜までも再生する念の入れようを見れば、ベッドの中で静かに寝息を立てているルイズが、つい数時間前まで犬を相手に嬌声を上げていたなどと信じられる者はいないだろう。
「あ……ここは……」
 ルイズはいつに無く爽快な気分で目が覚める。
 清潔な室内と落ち着いた調度品はVIP用の宿泊施設の1室だ。
「ふぅ……ようやく起きたか」
 声のする方を見れば、椅子に腰掛けた才人が口では呆れた様子を装っているが、その表情には安堵の笑みを浮かべてルイズの様子をうかがっていた。
「サイト……あんたってば何やってたのよ? ご主人様が困ってる時に身をもって助けるのが使い魔の役目でしょ!」
「だからこうやっておまえの負け分を稼いで来たんじゃないか」
 そう言って部屋の隅を指差すと、そこには大量の金貨の詰まった袋が積みあがっていた。
「あんなお金……どうやって……?」
「ああ、いろんなツテで暴れてきた。賞金稼ぎ捕まえたり紛争地帯の最前線を突っ切ったりしてな」
 なんでもない事のように言ってはいるが、目に見える所だけでも数え切れないほどの怪我の痕を見ていれば、才人がどれだけ無茶な事をしてきたのかわかってしまう。
 そう言い切れるほどの付き合いはしてきたはずだと自身を持っているルイズではあった。
(それなのに……私は……)
 懲罰の意味が無くなってしまうために、どんなに肉体を治療したとしてもルイズの記憶まで書き換えることはされていない。
 この2日間、自分が惨めな姿を晒している間に各地を転戦し、自分のために奮闘してくれた才人の事を思うと胸が熱くなり、自然とルイズは才人の胸に顔をうずめて泣きじゃくる。
 才人は何も言わずにルイズの頭を撫で、二人はしばらくの間お互いを確かめ合うように身を任せていた。

後日談:
「サイトーッ! あんたってば性懲りもなくメイドに手を出したのね!?」
 ルイズの部屋ではすでに恒例となった怒鳴り声が響いている。
「手を出しただなんて誤解だ! シエスタが洗濯を手伝ってくれるって言うから……」
 部屋の隅まで追い詰められた才人が徐々に間合いを詰めてくる”貧乳悪魔”の機嫌を取ろうと言い訳を始めるのもやはり恒例となった一幕だ。
「それがどうして一緒に水浴びするようになったのかしっかりと釈明してもらおうかしら? もちろんあんたは私の使い魔なんだから、あんたの主張が正しいかどうかは私が決めるわよ! 使い魔は使い魔らしくしっかりと調教してあげるから覚悟しなさい」
 すでに臨界点を突破している原子炉に等しいルイズにとって、才人が何を言っても爆発以外の選択肢は残っていない。
 それでも何とか暴発を防ごうとしていた才人が、ある違和感に気がついて聞いてみた。
「なぁルイズ……」
「なによエロ使い魔!」
「エロ使い魔って……まぁそれはちょっと置いとくとして、最近俺の事を”犬”って呼ばないよな?」
 ほんのちょっとした違和感に気がついて確認を取っただけなのだが、ルイスの変化は劇的といって良いほどだった。
「い………………ぬ?」
 怒りで赤くなっていた顔が蒼白になり、視線は落ち着きがなく周囲を見回し、膝だけではなく体中がガタガタと震えだす。
「い……ぬ いぬ イヌ 犬………………」
「おい、ルイズ?」
 テンションが180度入れ替わってしまったルイズに才人が声をかけた瞬間。
「いやぁぁぁぁーーーーっ! 犬は嫌ぁぁぁっ! お願い! 何でもするっ! 何でもするから犬だけはいやぁぁぁ!!」
 床にうずくまったルイズが恥も外聞もなく泣き喚き、才人に向かって懇願する。
 才人にすがりつく目から涙が溢れ、恐怖のためか床にはルイズの漏らした小便が広がっていく。
 その豹変ぶりに才人は何も出来ないままルイズを見つめているだけだった。

 この後トリステイン魔法学院ではルイズに対して「ゼロのルイズ」の他に「負け犬のルイズ」という蔑称がついた。

<終わり>

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